多夫多妻主義者の幻想

長文になる。

この話は今出た話ではなく、ずっと思っていた事ではある。5年くらい思っているかもしれない。

ただ、現実的ではないかな、と思っていたので、俺の中では「こういう形もあるかもなぁ」という一つの仮定に過ぎない、よくある話の一つにすぎなかった。

ということで特にまとめる必要もなかったのだが、俺の思考に対するノイズとして無視できないかなと認識してきたので、珍しく妻子が遊びに行っているこの時間を利用してまとめておこうと思う。


多夫多妻制

今日はじめて検索したところ、割とある主張のようだった。

ただ、既存の主張との差異をピックアップする労力をかけたくないので、いったん気にせず俺の思う多夫多妻制度というものを書き出しておく。

  • 性別を問わない複数人の成人で世帯を作る
  • 世帯は住居同一、生計同一
  • 世帯内でのセックスは同意があれば自由
  • 子が親元を離れるタイミング等は特に既存制度と差異なし

最小構成が男x男、女x女、男x女のいずれか。最後のものを選べば、現在の一夫一妻と同様。

男x男x女にしようが、男x女x女にしようか、男x女x男x女にしようが、そこから先は自由。

住居と生計は同一、世帯内の性的関係は同意があれば自由。というもの。

多夫多妻という言葉は本当は誤解があって、俺の話はセックスフリーのルームシェアハウスシェアの形態の方がより近いのだが、「生計同一」という概念がある以上家族構成によるので、一応「多夫多妻」という定義を使った。


夫婦における問題意識

現状の一夫一妻はあまりにも効率が悪い。

俺がこの事を感じ始めたのは、実際に家庭を築いてから2〜3年程して、割と真面目に離婚を考え始めた時にまでさかのぼる。おぼろげには、結婚する前から思っていたかもしれないが、強く意識したのはその頃だろう。

以下に列挙しよう。

  • 不妊治療の多さを見るに、結婚後に子供を作る事が今の高齢化結婚社会と合ってない
  • 子供が出来た後の仕事の難易度を見るに、1組の夫妻で子供の面倒を見る事が今の労働社会と合っていない
  • レスの割合を見るに、結婚後も単一パートナーと健やかな性生活を送り続けられるケースの方が稀有
  • 不倫や風俗利用の割合を見るに、結婚後も単一パートナーと寄り添い続けられるケースの方が稀有
  • 家庭内暴力の例を見るに、個人への依存度が高すぎる関係に合理性がない
  • どちらかが死ぬと詰みになるケースが散見される
  • 家事分担等が上手くいかないケースが多く、すべての夫妻に完璧を求められがちだが、人間には向き不向きがある

我が家の具体的な例として、ちょっとお恥ずかしい内情の話も入るが、このような問題がある。

  • 俺が妻の家事っぷりに不満
  • 俺自身がレスの主な原因(理由はいくつか)
  • お互いが子育てにそれなりの負担を感じている(もちろん喜びもあるよ)
  • 妻が俺に物怖じするケースが結構ある

具体的に話した事として、俺は離婚届も持ってきたし、離婚はしないでも妻に外で男作ってきてもいいと話した事もある。

しかし、別に俺と妻の仲はそんなに悪いわけでもないし、お互い子供も子育ても好きだし、なんでこの程度の事でわざわざ住居別にせんといかんのか。

というと、一夫一妻という制度が強依存関係にあるので、他の選択肢をとろうとすると別れるしかなくなってしまう。

家事(具体的には掃除洗濯系だ)なぞそれが得意な人が家にもう一人いれば解決するし、レスが問題なら別で満たせばいいし、子育ては分担出来る人が少ないのが問題なのだし、物怖じする程依存しなくていい。

いいのだが、一夫一妻制度だと「親と同居」で半分くらい解決できる事はあっても、セックス問題や強依存問題は解決しない。

これは多夫多妻のがいいんじゃないか、と思った。


子種における問題意識

また別の問題意識として、俺の子供なんか作って嬉しいか?というのを真面目に考えた事がある。

上手い例えが見つからないが、室伏と大谷と俺が並んでいた時、俺をとるのはよほどの物好きだけではないだろうか。メッシとクリロナと俺でもいいし、めんどいからイケメン1とイケメン2と俺でもいい。

なんで俺なんかとってしまうのか?というと、彼らの席が埋まってしまうからだ。たまたま近場にどんぐりしかいなくて、まあこれなら俺のがマシかな、となった時に、俺に惚れたりする人が出る事もある。

近場にあるベストな選択によって芽生えるのが恋愛感情で、恋愛感情の先にあるのが結婚や子作りという事になろう。


個人的には、これはよくわからなくて。

男はまあ、女性の妊娠期間が長いことを考えればまだわかるが、女性は変な馬の骨の子供をわざわざ作らんでもよかろう。

精子バンク?とかから適当に優秀な人間の遺伝子引っ張ってきた方が合理的な選択ではないか。


精子バンクから引っ張ってくるとシングルマザーになってしまうのが問題、ということなら、別にメッシの10番目の奥さんにでもなればよかろう。メッシの10分の1の収入も俺にはないんだし、わざわざ年収せいぜい1千万くらいの凡夫と寄り添わんでも、まともな遺伝子にありつく方法はあるだろう。


男の方はまあわかるっちゃわかるんだが、子供を作る事が目的でなければ不細工な手近な女子より、アイドル級の美人と一緒になった方がいいんじゃないか。結婚したら毎日顔合わせるんだぞ。

子作り目的でも、1番目の子供が別の男の子でも、2番目の子が自分の子ならいいとか思えたりもするんじゃないか。

そんなに独占したい訳でなければ、自分の担当が一週間に1日くらい、とかでも別によかろう。


・・と思うんだが、今の社会ではあんまり許されてない。

子種をGETするのに結婚というプロセスを踏むことが推奨されているので、手近で一番いい選択をすることが文化として馴染んでしまっている。

これも多夫多妻にすりゃ解決するんじゃないか、と思った。(俺は子供は養子でもいい派だったので、とかの背景がいくつかあるんだが長くなるので割愛)


現実的な制度運用における問題

しかして現実的にはなかなか難しい。以下に列挙する。

  • 一夫一妻はキリスト教で広まった制度で、多夫多妻は宗教的なタブーを犯す
  • 現実的に同一世帯に複数の雄と雌が共存する環境下で、争いを制御することが難しい
  • 世帯に迎え入れるプロセスが毎回難航する
  • 世帯から追い出すプロセスが毎回難航する
  • 血縁関係にない親子が多数同居する事で、子への性暴力リスクが無視できない
  • 一夫一妻を前提に結婚した夫婦が後日多夫多妻に切り替える事の難易度が高い

特に、「この人を追加したいんだけど」となった時の審議をどうするか、「この人を追放したいんだけど」となった時の審議をどうするか、が、なかなか厳しい。

子への性暴力リスクについては、実は俺は単一の親の方がリスク高いんじゃないかと思っているクチなのでなんともなのだが、例えばうちの家族に妻が金髪鼻ピアスの無職を連れてきて、「明日からこの人も家族に連れてきていい?セックス要員ですよ!」といった時、俺はどうするのかと。

ちょっと、考えてもいいですか?くらいはさすがの俺でもいいそうだ。

あとキリスト教問題は割と現代では無視できなくて、つまり「いけないことをしている集団」というレッテルは避けて通れないと思う。

本人達はそれでよくても、子供がちょっと可哀そうだよね。


この話の結末

俺が仕事で金稼いで、適当な別の男が家の修理とか力仕事全般を担当しつつ性生活も充実させ、妻はのんびりと仕事と料理にいそしみ子供と遊び、また別の女がテキパキと洗い物とかをする。

子供は別に優秀なのを精子バンクとかから適当に持ってきてくれればいい。わざわざ無能の子を作ることもあるまいよ。

とかで俺はいいんだが。



現実的にはデメリットが多すぎるし、そのデメリットを回避するいろいろを考えるのが面倒くさい。

子供が結婚する頃にはこの合理性のかけらもない一夫一妻はそろそろ消えててほしいと思うけど、俺の代で解決する気力はないので、ただの幻想でしかないんだが。


こんなことをうっすら考えているというのが、俺の人生におけるノイズになっている気がする。というのを整理するために一応書いておいた。