骨巨細胞腫を杏林大学医学部付属病院で手術した際の所感

一応、同種の病気を患っている方のために、書いておこうと思う。
手術してもらい、一昨日まで入院していた、三鷹杏林大学医学部付属病院の話。

杏林大学医学部付属病院

ここ。
http://www.kyorin-u.ac.jp/hospital/


三鷹とか吉祥寺とか調布とか、その辺の駅からバスで行ける病院。
なお今回この病院について記すけど、医師や看護士等の個人名については伏せて記載します。より詳しく知りたい人はメールでもください。

前後関係と選定理由

俺はそもそもベトナムのダナン在住で、ダナン病院というところで見てもらっていたんだけど、腫瘍が大きいためここでの手術が難しかった。
骨バンクのあるホーチミン市の病院を薦められたんだけど、中国系の病院なので、それなら日本帰るわという事で日本帰国。


日本での住居はとりあえず母のところにお世話になるので、八王子。
ということで多摩近辺でいくつか調べて、最終的には大学病院辺りになると思うので、以下あたりが候補になる。

このうち、多摩総合医療センターは前結核やった時もお世話になった病院だし、ここにしようかと思ったけどどうも紹介状が必須みたいだったのでパス。
腫瘍だし、成長しそうだから急いだ方がいいのかなと思って。


立川のは後日調べてわかったところで、東海大学杏林大学のどっちかにしようと思ったんだけど、地理的には東海大学の方がずっとよかったんだけど、Webサイトがしょぼいせいか骨腫瘍に不安があったので、病院的に大きい杏林大学の方にしようかとそれほどこだわらずに決めた。
紹介状が無いと3,150だったっけな、ちょっとお金はかかる。

入院まで

俺がこっち戻ってきたのが10月12日で、初診は10月15日。
この時はダナン病院のものを引き継いで、レントゲン撮ってもらって、MRIとCTの予約と専門医の予約を入れてもらって、松葉杖を出してもらっておしまい。
これなら大学病院直じゃなくてもよかったかもしれないけど。


次は10月22日にMRI
10月24日に外来で今回手術も担当してもらった専門医の先生に診てもらうのと、CTという流れ。


この時、外来で専門医の方は丁寧に診察してくれた。
非常に丁寧でかつ知識もある感じの説明で安心出来た。
で、入院が10月31日、生検が11月1日という事が決まった。


まだ1週間くらい待つらしいということでストレスも溜まったので、その日の夜は日本来てから二回目の飲みをしたんだけど、この際酔っ払って何かしたらしく(全然覚えてない)、25日の朝はめっちゃ足痛い状態。
多分、軽く骨折してたと思われる。全然足曲がらんかったし。


びびってタクシーで25日もう一回行った結果即日の緊急入院となってしまったw
その節はご迷惑おかけしました・・。

入院から手術前まで

入院は、整形外科病棟のベッドが空いていなかったので、第三病棟の8F、つまり皮膚科とかのベッドに収容された。
基本は毎日安静にして、痛み止めを服用という形。
当日はさすがに痛かったけど、二日目から痛みも引いてものっそい暇になった。担当外だからかこの時の看護士さん達はなんか冷たかった印象。


25日〜28日はあんまり覚えてないんだけど、29日に外科病棟に移ってからはよくしてもらえた。
特に29日に担当してくれた看護士さんはフレンドリーで救われた。もっともこの看護士さん退院前の二日間も担当してくれたんだけど、退院前の二日間は忙しかったせいか素っ気無かったけどなw


この辺から病気の担当関係もはっきりしてきたんだけど、担当してもらう医師の方が3人いて、うち主治医となる人が一人。さらにそこに名前の入ってない方が執刀医という4人体制。ただ担当医の内一番偉い人は特に顔も知らない人だったり、途中で担当医の一人が唐突に一人代わったり、結局誰に何を頼っていいのか妙にあやふやだった。
「チームで診てます」と言ってたけど、執刀医の方から病気の詳しい説明はあるけど、他の担当医の方からは結構一般的な説明で骨巨細胞腫のコの字も聞かなかったので、今でもあの執刀医の方が一般的な「主治医」ということになるんじゃないかと思っている。大学病院の負荷分散のためと思われる「チーム担当」って呼んでいいと思うあのシステムは、患者からすると違和感だけ残った。


とりあえず、手術前まではまあ特にやることもなく、手術前の説明聞いたりなんだり。
相変わらず安静にして痛み止め飲んでるだけだし、家でおとなしく出来てれば31日入院で確かに十分だった。


31日に手術の事前説明が執刀医からあったけど、この時担当してくれたのは外来で見てくれた専門医の方。
この日はすげー忙しそうな感じで、早く説明を終わらせたい感が見え見えで質問たくさん出来る雰囲気でもなく、骨巨細胞腫では多分重要だろう消毒方法とか、骨の代替品(人工骨とかセメントとか)は簡単な説明こそあれど基本医師に任せて欲しいという内容。
そりゃ俺らは素人だから基本的にお任せでいいといえばいいんだけど、不満は残った。


また手術費用概算の説明もなく、保険外の費用がかかるかどうかとかもよくわからなかったので、その後の同意書のサインで少しもめた。
「緊急時に処置をする、またその費用はこちらで持つことに同意する」って項目だったんだけど、まあ全文載せるか。
「(前略)診療を受けることを同意いたします。また診療実施中に緊急処置の必要が生じた場合、適切な処置を受けることも承諾同意いたします。その費用も負担することを承諾同意いたします。」
この日本語、最後の「その」の部分が緊急時だけを指しているのか、普通の手術(文中では診療)も指しているのか断言出来ないこともあって、どうも責任範囲がよく見えないので詳しく確認したいなと思わされた。


で、確認したら、看護士なんてテンプレートにサインしてもらうだけで特に何知っているわけでもないみたいで、変にこっちがゴネてると思われたのか3人看護士来て皆半ギレ。
特に最後に来た看護士が保険外の手術費用1000万ってかかったらどうすんだって話でも一般的にそういうことは無いとかいう話も出来ず、命とお金どっちが大事かとか訳わからん話を持ち出してきて、そんな時間のかかりそうな哲学話して誰が得すんのと思いつつ、時間勿体ないので俺も半ギレ状態でサイン。
夜に主治医の人が来てくれて、保険外の処置は予定されていないってのと、緊急時でも輸血が保険外になることはあってもそのくらいですよという補足説明してくれたので、ようやく少し安心。手術の概算費用の話くらいしてくれてもいいんじゃないのとは最後まで思ってたけど、ないもんなのかね。


全体的にチーム担当の話といい、契約書の話といい、組織がでかいからこういうものなのかもしれんけど。
入院後から手術前までは29日に担当してくれた看護士さんがフレンドリーだった以外、正直印象はよくなかった。

手術

11月1日は、なんか最近の印象がよくないので少々不安に思いつつ手術。
手術は昼12時くらいからで、手術前日の夜9時から食断ち、0時から水も駄目だけど、この程度だと制限って言えるほどのものでもないな。あ、あと下剤も飲んで朝から5回くらい出た記憶がある。


手術の内容はまず生検で、30分での簡単な生検でまず骨巨細胞腫に間違いないだろう、ということがわかればすぐに手術とのこと。
全身麻酔打たれて気が付いたら終わってた。3時間くらい。
30分でわかって即手術になって、骨の代替品?にはセメントを使ったと簡単な説明を受けた。


術後はSICUという専門の場所で一日療養。


手術直後は足に激痛。あと尿道カテーテルも痛い。
痛み止めの点滴打たれたりなんだりしてたら落ち着いてきたけど、寝るとおてぃんぽ君が大きくなろうとするのか、尿道カテーテルの痛みが強烈になって寝れず。
自身のバカ息子を呪いつつ、ほとんど眠れず兄の持ってきてくれたONE PIECEなど読みつつなんとか一日乗り切った感じ。


ただSICUで担当してくれた看護士の方がすごく親切な方で、本来昼に予定されていた尿道カテーテルも7時で外してくれたり、色々気にかけていただけた関係でSICUでは大分安心して過ごせた。
杏林の看護士の夜勤は17時間勤務らしいので(仮眠あるみたいだけど)、眠いでしょうに。ご迷惑おかけしました。

手術後

手術後から退院まで特に特別なこともなかった。
痛みはあるけど痛み止めが必要なほどでもなく、11月6日か7日には薬の服用も止めた。抗生物質の点滴は退院直前まで続いたけど。
リハビリメニューはないので、院内それなりに自由に動けるので自分で適当に1時間くらいぶらぶらしつつ、暇をもてあましながら16日に退院。


入院中の検査はレントゲン2回、血液検査3,4回、検便?1回だったかな。
他、膝の上に溜まった血を抜く処理を2回。傷口の消毒と包帯張替えが3,4回だったかな。
他は毎日食事の摂取量や小・大便の回数記録、昼に血圧検査、朝・昼・晩くらいで体温検査。
ちょくちょく看護士さんが問診?に来るので、痛みはどうかとかの受け答えしたり。


退院一日前に抜糸。
抜糸まで退院日が不明だったけど、抜糸時に明日退院するかと言われたので二つ返事で承諾。


途中の検査結果は言わないと教えてもらえないので、看護士さんが来た時に自分で聞くのがいい。
俺の場合血液の炎症反応でCRPって数値があって、この数値が少し高かったため点滴が止められないとのことだったので、この数値を2回くらい教えてもらった。まあ点滴は最後までやる羽目になったけど。


風呂とかは入れず、頭洗うだけのシャワーは手術後15日間の入院生活で2回。点滴の穴が問題なので看護士さんにやってもらうんだけど、それも申し訳ないので1回自分でやったら逆にテープ貼ったりでお手数かけたので、おとなしく看護士さんにやってもらう方がいいのかも。
体を拭くタオルは3,4回もらった。これは自分で拭けるので楽。
結核の時どうだったか覚えてないので、他所との比較は出来ず。


術後で不満だったのは、手術内容についての説明がないという点。
普通術前術後のレントゲン見比べて、こんな感じで骨とってますー、こんな感じでセメント入ってますー、みたいな説明は最低限あるんかと思ってたけど、退院する段になってもない。少し驚いた。


次回外来で聞けばいいんだけど、これは12月17日だからな。
1ヵ月半以上俺は自分の足の状態がどうなっているのかよくわからんで過ごすという事実が、すごく違和感ある。

その他

ベッドは広く、施設内ににスターバックスとかも入ってるし、全面禁煙以外は特に苦労する事もなくいい設備だ。
ご飯もバリエーション多くてなかなかじゃないか。
敷地も広大で散歩も1時間程度ならそれなりに楽しめる。


4人部屋なので病室で同室になる人によっては、看護士がそっちにかかりきりになるとか、夜うるせぇとかの問題はどうしても遭遇する。夜9時以降は病室以外に行くところが無いので、苛々することもあるかも。
パソコンは使えるしインターネットも夜9時まで出来るけど、騒音にならないようキータイプ音注意しないといけないから仕事出来るほどではない。
まあ金あるなら個室のがいいかも。杏林の外科病棟は一泊3万円するので、長期入院なら入院しながら月収200万以上稼げないときついかもしれんがw


看護士さん自体は親切な人結構多かった。ただ平均年齢若すぎるような。あと別に自由だけど、女性看護士ほとんど茶髪だった。若さと相まって大学生に看護されてる感じ。。
まあ整形外科病棟って普通はそんなに手がかからない患者が多いので、看護士のリソース配分的に手のかかる患者は手厚く保護、手のかからない患者は基本放置、ってならざるを得なくて、俺はリハビリすらない点滴だけの患者なので、SICUにいた時以外は結構放置されてた感はある。特に問題ないけど参考まで。

骨巨細胞腫の人から見ての杏林大学医学部付属病院

総合的に見て、今骨巨細胞腫の別患者さんがいたとして、杏林大学での手術を薦めますか?って聞かれたら、
薦めない
って返事すると思う。


術前術後、両方とも説明がなさすぎた。
これで再発したとして、その時俺が医師はベスト尽くしてくれたって思えるかっていうと、思えないだろうと。
設備は十分にいいのでいい病院だとは思うけど、結局そういうのは付加価値であって、医師と患者の関係という最も重要な一点で印象いまいちと言わざるを得ない。


腕の良し悪しはさすがに俺ごときにはわからないけど、執刀していただいた方はかなり詳しいと思う。准教授の方。
他の方との差がでかくてその人の負担が大きすぎ、説明まで手が回らないのが根本的な問題なのかもしれんけど、だからしょうがないと割り切れる程軽い病気ではないので。


まあ説明不足という面では推奨出来ないけど、最終的には執刀医の腕が一番重要でそれ次第では推奨できるとは思うので、今後の病気の経過でも見てもらえれば、ってとこすね。
再発する人は2年以内に80%再発しているので、2年後くらいにはわかるんでなかろうか。
再発したら、この記事にも追記しておきます。

2015/11/12追記

上記記事から2年経過した今、再発していない。

ということで、一番重要なところはクリアされて、俺にはわからないことが客観的な事実をもって証明できる事になったので、今なら

薦める

って返事すると思う。