オフショア単価の根拠とか

前書き

最近の異常な円高を受け、俺がベトナムに出た4年前の円相場でも見直してみるついでに、オフショアの人月単価でも書いてみるよ。


円VND相場のまとめ

俺が知ってる範囲て事で、計画立てを2006年、実験的なプロジェクトが多かったのが初年度を2007年、経営力を決定付けた2008年、撤退決定の2009年、それから今年で出してみる。

  • 2006年6月5日:141.79
  • 2007年6月5日:131.00
  • 2008年6月5日:167.59
  • 2009年6月5日:185.30
  • 2010年8月5日:222.35

http://www.vietcombank.com.vn/ExchangeRates/Default.aspx
※8月だと2007年のデータがとれなかったので6月で代用。2010年は最新で。


2008年は7月1日が157と変動が大きかったみたいだけど。
当時の20万を現地通貨に直すとこんな感じ。円高っぷりがすごい。

  • 2006年6月5日:141.79 = 28,358,000 (初年度比100%)
  • 2007年6月5日:131.00 = 26,200,000 (初年度比92%)
  • 2008年6月5日:167.59 = 33,518,000 (初年度比118%)
  • 2009年6月5日:185.30 = 37,060,000 (初年度比131%)
  • 2010年8月5日:222.35 = 44,470,000 (初年度比157%)

給与の上昇について

年間25%の給与上昇って話があったけど、体感的には10%上がってるかどうかという印象。
10%で計算してみるとこんな感じ。

  • 2006年6月5日:4,000,000 (初年度比100%)
  • 2007年6月5日:4,400,000 (初年度比110%)
  • 2008年6月5日:4,840,000 (初年度比121%)
  • 2009年6月5日:5,324,000 (初年度比133%)
  • 2010年8月5日:5,856,400 (初年度比146%)

※本当は400万VNDは下っ端の給与で、しかも給与のみだから平均とるともっと高いんだけど、これから進出を目論む人とか、利用する側の視点だとこうなる。


人月単価について

2007年を例外としてベトナムの経済成長に円高が合ってて、人月単価の上昇が起こりえない感じ。
ただ、人月20万という設定は日本の会社取り分50%の話と比較すると給与面見ればかなり高い。これには理由があって、不動産やPCの値段は日本と変わらず会社の総出費に占める割合多いので、会社が75%くらいとっていい感じだと思う。逆にこれ以上会社がとらんと駄目ならコストかかりすぎかな。
もし400万VNDだとした場合、俺が思う適切な人月単価はこんなところ。

  • 2006年6月5日:4,000,000 ÷ 0.25 = 16,000,000 (\112,843)
  • 2007年6月5日:4,400,000 ÷ 0.25 = 17,600,000 (\134,351)
  • 2008年6月5日:4,840,000 ÷ 0.25 = 19,360,000 (\115,520)
  • 2009年6月5日:5,324,000 ÷ 0.25 = 21,296,000 (\114,927)
  • 2010年8月5日:5,856,400 ÷ 0.25 = 23,425,600 (\105,355)

÷0.25ってのは、社員への給与が400万VNDだった場合、会社が75%をとった上で社員への給与が400万VNDになるための計算式。
んで、上記は大体正しくて、ベトナムも上記の市場原理通りに動いているためベトナムローカル企業は人月1,000USDくらいで推移していた(最近は見積もりとってないから知らないが、1200くらいに上がってそう)。
2008〜2009は人材のだぶつきが激しかったのか常駐派遣で500USDなんて凌ぐためだけの価格も結構あったけどね。


日系オフショアについて

日系オフショアがなんだって20万もとるのかっていうと、ぼったくりってのもまあ事実としてあるんだけど、コストを猛烈に圧迫する存在として日本人コストがある。ベトナム企業で日本進出しているようなところだと、日本支社と日本在住ベトナム人のコスト。
この人達は純粋な出費だけで月額30万はまずくだらないし、その上出張やなんやで月に10万は最低使うから、ベンチャーレベルでも一人頭40万はかかる。CUVELもそうだけど、こういうのが3人くらいはどこも絡む。


オフショアの適性として俺が考えるのは5人1チーム、2チーム1通訳、4チーム1ブリッジSEくらいな感じなので、日本人が必要なのはこのブリッジSEと同じ比率くらい。つまり20人に1人くらいでいい。
ということで50人くらいいて、初めて日本人が養える感じなんだが、実際はそうもいかない。10人程度で日本人を置いてるケースが多い。


2006年のモデルでいくと、こういうこと。
\400,000- x 3 = \1,200,000 x 141.79 = 170,148,000VND
10人のベトナム人コストだと、こういうこと。
\4,000,000 x 10 = 40,000,000VND
つまり、日本人の出費だけで圧倒してる状態。例えばこれで平均値を求めると (170,148,000 + 4,000,000 * 10) ÷ 13 = \16,165,231 = \114,008 ってなってざっと4倍くらいに上がる。


妥当なオフショア金額について - 小さい会社を日本人から見て

んで、各年度で見るとこういう感じ。日系でも非効率的な運営してても、まあこんなもんで十分利益出るでしょというらい。(全体の給与水準が上がってるから会社取り分を50%に減少)

  • 2006年6月5日:(170,148,000 + 4,000,000 x 10) ÷ 13 ÷ 0.5 = 32,330,462 (\228,017)
  • 2007年6月5日:(170,148,000 + 4,400,000 x 10) ÷ 13 ÷ 0.5 = 32,945,846 (\251,495)
  • 2008年6月5日:(170,148,000 + 4,840,000 x 10) ÷ 13 ÷ 0.5 = 33,622,769 (\200,625)
  • 2009年6月5日:(170,148,000 + 5,324,000 x 10) ÷ 13 ÷ 0.5 = 34,367,385 (\185,469)
  • 2010年8月5日:(170,148,000 + 5,856,400 x 10) ÷ 13 ÷ 0.5 = 35,186,462 (\158,248)


去年・今年の相場をいち早く15万に切り替えたのであれば妥当。
20万・30万を維持しているのはどうかな?という感じのデータ。


ただ、社員への給料計算が400万VNDスタートの10%上昇にしたけど、実際日系オフショアのベトナム人給与はもっと高い。上記はベトナム進出前の日本企業がやりがちな皮算用って事すね。
6,000,000スタートの12%上昇くらいにしときゃ怒られねーかな。俺は10%だと思ってるけど、会社ごとに差異あるしね。後、保険料とか入れると実際は3割増しくらいになるからそれも計算しないとね、と。
ちょい大げさに4割増しくらいで計算すると、こうなる。

  • 2006年6月5日:8,400,000 (\59,243)
  • 2007年6月5日:9,408,000 (\71,817)
  • 2008年6月5日:10,536,960 (\62,873)
  • 2009年6月5日:11,801,395 (\63,688)
  • 2010年8月5日:13,217,563 (\59,445)

案外かかるんだよね。しかし円高恐るべし。


妥当なオフショア金額 - ちゃんとした会社を現地人から見て

と社員の給与を訂正するのはいいんだけど、日本人40万 x 3を10人に対してつけるのは経営努力が足らんと思うので、社員数をちゃんと50人くらいに増やした上で日本人単価を上乗せする健全なオフショア経営の場合はこうっすね。

  • 2006年6月5日:(170,148,000 + 8,400,000 x 50) ÷ 53 ÷ 0.5 = 22,269,736 (\157,061)
  • 2007年6月5日:(170,148,000 + 9,408,000 x 50) ÷ 53 ÷ 0.5 = 24,171,623 (\184,516)
  • 2008年6月5日:(170,148,000 + 10,536,960 x 50) ÷ 53 ÷ 0.5 = 26,301,736 (\156,941)
  • 2009年6月5日:(170,148,000 + 11,801,395 x 50) ÷ 53 ÷ 0.5 = 28,687,462 (\154,816)
  • 2010年8月5日:(170,148,000 + 13,217,563 x 50) ÷ 53 ÷ 0.5 = 31,359,477 (\141,037)


後は50%が妥当なのかって話なんだけど、仮に60%くらいにあげたとした場合は20万くらいに落ち着く。
ただ、今年は円高だから17、8に落としてもオフショア企業は痛くないはずで、そこをごまかすのは違うかなと。安いところなら15万くらいが出てきてもおかしくないくらい、給与上昇を打ち消して余りある円高状態なんでね。


あと、この単価は日本人工数込みで計算してるから、これとは別にブリッジSE代がかかるってのは話が違うんだけど、5人1チームでこなすレベルの仕事を発注できない日本企業も悪いんで、まあお互い様だし去年までは20万くらいで、今年は18万 + ブリッジSEコストくらいで我慢すれば?ってのが総評ですかな。


18万より上だと、今年はちょい高い気がするわ。
俺が現役なら、今年は15万にして勝負かけるかもなぁ。




(昼頃追記)
すまん、円高による日本人給与の上昇を計算し損ねた。脳内補完してください・・。