某人と飲む

前置き

久しぶりに某人と飲んできた。
怪人Xと名乗りたいようなので、怪人Xと呼称してあげよう。恥ずかしい名前だ。
結構世話になった人だが、恩師と呼べるほど別に恩を感じているとかではないし、戦友と呼べるほど修羅場を共にくぐってきた訳でもなければ、親友と呼べるほど長い付き合いがあるわけでもない。
少なくともある一時において互いに本音で語り合った仲、という意味では、仲間という言葉が最もしっくり来る。
で、その仲間の名前は怪人Xらしい。恥ずかしいからやめてくんないかな。

立川にて

立川の鳥良で飲む。から揚げうめぇッス。
昨日夜10時頃、靴箱の鍵を見つからなくておろおろしているみすぼらしい若者を鳥良で見た人がいたら、それは私だと思ってほぼ間違いない。梅シャーリーのシャーリーって何スか、と店員に絡んでいたのも私だ。なんか駄目人間っぽいが、まあいい。
怪人Xと会うのは半年以上ぶり。その間随分色々あったらしいが、今はかなり努力したのか回復しているようで安心した。

話の内容

詳しい話は割愛するが、どうもXと話すと「恋とは」「人生とは」「人とは」という妙な話が多くなので、結構抽象的な話をしていたように思う。
建設的な話かそうでないかと言えば建設的ではないのだが、自分の意見を口に出して、相手の反応を聞くというのはそれ自体が重要な事だと思う。「○○は××」という事実や「つまり」という結論のみで語れる人間は完成された人間ということだろうが、完成してしまった人間にはのびしろもあるまい。
ということでまだまだ未熟な人間二人が、学生のように意見交換をしていたわけだ。
個人的に、こういう飲みは嫌いではない。
一人で飲んでる時もよく脳内で議論をしているが、違った目線で聞けるというのは面白い。

お互いの近況

で、まあ恋とか人とか人生とかばかりではなく、近況についても少し話し合った。
実際は私が聞いている時間が多かったかもしれない。というか、私は自分の歴史とか近況とかをあんまり話さない人間だとようやく気付いた。考え方とか、目標とか、意見とかを話すのが好きなんだが。


Xの話は興味深かった。
よく、その道を選んだなと。
歩けば歩く程心を蝕み、下手をすれば飲み込まれてしまいそうな闇のような道に、一度飲み込まれかけた人間がよくその道に行く気になったものだなと。
あえて大げさな表現をしているが、過去に似たような経験をしている人間から見て、"それ"は本当に巨大な闇である。理由を必要とせずに逃げ出したくなるほど、巨大なものだ。私はその道に戻れなかった人間でもある。
Xはその道を選んだ。
よく、選んだものだと。


正直不器用だとは思うのだ。
その状況にしてしまったことが不器用だと思うのだ。
情という激流に流され、いつも逃げ道をなくして二択を迫られる。
それは不器用だと思う。


ただ、その不器用さこそ私には出来なかったことでもある。
鏡に映るような人物でも、私の憧れの人物というわけでもない。
だが、私とは別の人間が、全力で生きている姿がそこにあるのだ。
怪人Xという恥ずかしい名前のやつの、健闘を祈る。