苦戦

正直てこずっている。
要因はいくつかあるが、組織的な要因はひとまず置いておくとして、ベトナムという国が若干関係している要因について記述したい。

法的な混乱

APECの開催やWTOの加盟などで法律が一気に変えられており、専門家ですら法律がよくわかっていないケースが多い。
また、投資の急増によって投資省が麻痺状態になっており、ライセンス取得には相当な時間がかかる。
ここは下手に安上がりに済ませようとせず、ある程度の外法を使うという手段もある。
もし投資を考えている場合、投資を委託する人物はどういう人物を想定し、どういった手段で行うかを考えてやった方がいいだろう。
大体ライセンス取得完了まで3ヶ月くらい見るのが安全かもしれない。

初動ミス

ライセンス取得を法人からの投資という形でやったが、おそらくこちらの方が時間がかかる。とにかく提出する書類が多いためである。
これについては役員を後から追加するのが大変であるなど、後で相当に苦しまされるので、もしCUVELのように共同出資で会社を立ち上げる場合は、はじめから共同出資という事で投資した方がよい。
ここは我々にとっての大きな反省点だ。

国民性

ベトナム人は締め切りを守らない。
真面目な人が多いのだが、締め切りを守らない。それを真面目と呼ぶべきかどうか、私自身地味に混乱しているが。
例えば名刺を発注し、期日にこないからと電話すると、「今忙しいから明日」と言われる。
翌日になっても来ないから電話をすると、「電気が落ちて作業が出来ないので明後日」と言われる。
またあるケースでは看板を発注し、期日に来ないからと電話をすると、「看板の厚さを聞いていなかったから作れなかった。明日厚さを聞きにオフィスに行く」と言われる。
いや、本当はもっと大量にあるんだが、とにかく皆コロコロと予定を変える。
社員は定時に来るが、この精神でIT系をやる場合に相当な教育が必要になりそう。


なお、不思議なことにそれだけルーズな人々が、まだ一度も遅刻していない。
何かが違うんだろうな。

通訳

現在CUVELでやってくれている通訳は優秀だが、その前までやっていた人物の通訳は正直厳しい。日本語というか姿勢の問題で、誤訳が多すぎるのだ。
これによって作業ミスが頻発しており、CUVELの場合はそのツケを今払わされている。
「誰でもいいからなんとか日本語を使える人」を「すぐに雇わなければならない」と思って迂闊な行動をすると、後々相当に響いてくる。
もし初めに社員募集等のちゃんとした工程が組めるなら、通訳を先にと急がずしっかりと組んだ方が良いだろう。
はじめからビザ無しではなく、ビジネスビザをとって1ヶ月〜2ヶ月くらい滞在できればベストかもしれない。

人選ミス

ベトナム人は真面目だがいい加減な人が多い事は、なんとなく国民性の項で伝わったと思う。
仕事をする人間はとにかくいい加減であり、出来ない事も出来ると平気で言う。
結果、これはCUVELのケースだが*1経理担当と人事担当を雇って会社設立後、運用に必要な諸手続きを行う事になったのだが、彼らはそもそも専門家ではない。
ただの事務員で他の会社の社員の人物と、大学で法律を勉強した他の会社の社員という人物という有様である。


当然ながらこのような構成では大いに混乱が生じた。
書類提出手続きなどは簡単に行ってくれるが、いざ給料などの体系を算出しようとすると、所得税率すら間違っておりまるで書類が上がってこない。
また、実際にそういう手続きを知らない都合上行き当たりばったりでやるため、手順をこちらに示すことが出来ず結果予定を立てることも出来ない。
そのようにあたふたされると正しそうな文書も間違っているように見え、結局これ以上の混乱を避けるため彼らは給料だけ払って解放し、法的なコンサルを専門に行う事務所に頼む事にしたのだが、国民性をよく理解した上でもっと人選は腰をすえてやらなければいけないという事だ。

給料

こっちの人は最終的に手元に残る給料、すなわち手取りで考える事が多く、支給額で給料の話をし、手取りかどうかに触れていないと採用後に混乱が生じる。
とにかく、給料については面接時にちゃんと話した方がいいだろう。


ちなみに来年1月からまた保険が変わってしまうが、各種税に関してはこんな感じで2006年11月現在間違いは無い。

所得税 500万ドンから10%。計算式は「(給料 - 500万ドン) * 0.1」になる。ドル払いかドン払いかも事前に決めておくこと。
保険 保険の負担料は23%。うち社会保険が20%、健康保険が3%で、個人負担はそれぞれ5%と1%の計6%になる。保険料については基本給に対しての金額なので、基本給と手当を分けて基本給を下げれば、保険料も減ることになる。事前に説明の必要あり
手当 健康被害に関する手当以外は、交通費も含めて全て課税対象とのこと

ただ、ベトナム人SEは800万ドン以上から課税対象という話を日系企業から聞いており、これについてはソースがつかめなかった。誰もそんなもの知らないっていうんだよな。
あと、手当だけはちょっと胡散臭い。何か抜け道はありそうな気がする。

まとめ

国が変われば色々あるが、こんなもんかなぁという感じ。
ライセンスとれて一段落したと思ったが、とんでもないな。まだまだ落ち着くまで大変そうだ。

*1:ベトナム人に人選を任せた我々がまずかった